中央大学国際経営学部の「比較経営論」の講義(岡野教授)にて、弊社代表の宮川が行った講演の内容が中央大学のホームページにて紹介されました。
講演内容は、自動車部品ビジネスにおける日系自動車産業の強さの源泉について、製品アーキテクチャー論や製品開発論といった視点で、実務的かつ学術的な見地から解説を行いました。
さらに異文化経営論の視点を踏まえ、自動車部品サプライヤーシステム論との理論的融合をさせた分析を解説し受講した学生の皆さんからも好評を得ることが出来ました。
中央大学国際経営学部の「比較経営論」の講義(岡野教授)にて、弊社代表の宮川が行った講演の内容が中央大学のホームページにて紹介されました。
講演内容は、自動車部品ビジネスにおける日系自動車産業の強さの源泉について、製品アーキテクチャー論や製品開発論といった視点で、実務的かつ学術的な見地から解説を行いました。
さらに異文化経営論の視点を踏まえ、自動車部品サプライヤーシステム論との理論的融合をさせた分析を解説し受講した学生の皆さんからも好評を得ることが出来ました。
藤本・葛(2001)による、自動車部品のアーキテクチャー特性、すなわちモジュラー型とインテグラル(すり合わせ)型の製品特性が、取引形式に影響するという実証研究結果がある。不確実性、取引の頻度、資産特殊性¹において、競合との間で大差のないとみられる部品で、取引方式の選択に顕著な差異が観察されたと報告した(藤本・葛2001p.212)。 この現象を説明する手段として藤本・葛(2010)は、製品のアーキテクチャー的な特性、すなわち「モジュラー性」に着目した。
藤本らによれば、製品を構成する部品に関して「インテグラル型」であるか、「モジュラー」型であるかという「構造的」な視点と、その部品のオープン性が「クローズ=企業特有・業界囲い込み」であるか、「オープン・業界標準」であるかという視点で分類を行った。 この分類によって自動車は、「インテグラルな構造」であり「クローズ=企業・業界囲い込み」という特殊な製品であることが指摘された。
この製品アーキテクチャー的視点からも、自動車部品サプライヤーに要求される能力は、中核企業である自動車メーカーとの間で、綿密なすり合わせ型開発を行う能力と、不確実性をこなす能力が必要となり、その為の能力構築競争を少数の競争相手との間で行ってきたというのが、「能力構築競争」の議論(藤本、2003)であった。
能力構築競争を行っているサプライヤーは、「深層の競争力」(藤本、2003)と定義された、暗黙知次元での企業間競争を、1部品当たり2~3社という少数の競合企業との間で繰り広げることとなった。
このような深層レベルでの能力構築競争は、自社の強みをさらに深化させるという意味で、きわめて有効であったが、その一方で「能力の罠」(Levitt & March,1985)などで指摘された「リスクテイクを伴った、新しい分野への挑戦」、すなわちイノベーションの創出や普及へのモチベーションを削ぐ傾向が懸念される。
図表1.
出所:藤本(2004)を元に筆者編集・作成
参考文献
浅沼萬里・菊谷達弥 編集(1997)「日本の企業組織 革新的適応のメカニズム―長期取引関係の構造と機能」 東洋経済新報社
藤本隆宏 (2001)「アーキテクチャの産業論」藤本隆宏・武石彰・青島矢一編『ビジネス・アーキテクチャ:製品・組織・プロセスの戦略的設計』第1章 有斐閣
藤本隆宏(2003)『能力構築競争』 中央公論新社
弊社代表宮川の執筆した、産業学会への査読付き論文「自動車部品ビジネスにおけるトップ・セールスの有効性について -人脈による企業間関係構築の媒介性と速度感の視点からの考察-」が、『産業学会研究年報』第36号に掲載されました。
当該論文は、日本の企業間関係の中でも、特に複雑性と、関係構築の難易度の高い自動車部品ビジネスにおいて「人脈は有効に働くのか?」という問題を、日独比較の視点で論じております。
出典:http://www.sisj.org/journal/
Our Nagoya branch office has been relocated to the following address from January 01, 2021.
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[New office]
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1-5-27 Nishiki, Naka-ku, Nagoya City,
Aichi Japan, 460-0003
*Our current phone number does not change due to the relocation.
この度弊社の名古屋事務所は2021年01月01日より下記住所に移転となりました。
今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
【新事務所】〒460-0003 愛知県名古屋市中区錦1丁目5−27 いちご錦ビル6階
※電話番号は変更ございません
前回の投稿でも説明しました通り、現代の自動車産業においてモジュール化は一大潮流となっております。
ただ「モジュール化」といってもその定義は非常に多岐にわたります。その中でも筆者はハーバード大学のボルドウィン・クラークの共著、安藤晴彦氏の訳による『デザインルール・モジュール化パワー』(2004)の中で説明する「パラメーターとタスクがユニット(モジュール)内部では相互依存を持つが外部からは独立している特殊な構造体である」という定義が、モジュールの製品アーキテクチャー的特徴を良く定義化出来ていると考えております。
また、武石・藤本・具(2001)らは、モジュール化に関して以下の3つの分類を行っています。
1.製品アーキテクチャーのモジュール化
2.生産のモジュール化
3.企業間システムのモジュール化
1の製品アーキテクチャーのモジュール化と、2・3生産に関する分類の間には、明確な違いがあります。2と3の相違点は、モジュール生産を内部化するかアウトソースするかという違いであります。3の企業間システムのモジュール化とはまさにモジュール生産のアウトソーシングのことでありますが、自動車産業においてはこの「生産のアウトソーシング」の事をモジュール化の本流であるとの認識が強いように見受けられます。具体的に3番の製品のイメージに合致するのが「フロント・エンド・モジュール」や「コクピット・モジュール」といった比較的大型のモジュール製品であります。
現在VW等モジュール戦略において最も先進的であると推測される自動車メーカのコンセプトは、このような大型の製品群にとどまらず、細分化とその共通化が進んでいます。
次回は現在に至るまでの「モジュール化」の歴史についてまとめてみたいと思います。
参考文献
武石彰・藤本隆宏・具承桓(2001)「自動車産業におけるモジュール化-製品・生産・調達システムの複合ヒエラルキー」
ボルドウィン・クラーク、安藤 晴彦訳(2004)『デザイン・ルール モジュール化パワー』東洋経済新報社
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